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『ブラスト公論』クルーがいろいろ書いたり書かなかったり。

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「愚民作戦の巻」その5

蔵出しシリーズもこれで最後。
単行本未収録の「愚民作戦」の最終回です(「その1」「その2」「その3」「その4」もあるよ)。

※この回は瀬戸内寂聴さん(通称「寂姉」)の著作『瀬戸内寂聴の人生相談』(NHK出版640円)を題材に、そこに寄せられた悩みに対して公論クルーが勝手に回答。その後、答え合わせと称して寂姉の回答と比べてみる、という内容になってます。

怒られたらすぐ消します!


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『瀬戸内寂聴の人生相談』(NHK出版640円)

■相談5

思い切って美容整形手術をしました。子供の頃から顔には自信がなく、それがコンプレックスになっていて、これまでボーイフレンドもできませんでした。そんな自分を変えたいと思い、就職した翌年、美容外科を訪ねました。手術代の250万円は貯金とローンとで支払っています。ところが予想通り、手術した私を職場の同僚はみな白い目で見ます。両親にもさんざん叱られました。すでに転職し、新しい職場では男性にもよく誘われるようになりました。嬉しい一方で、いつ手術のことがばれるかが不安です。顔で全てが変わると思い込んだ自分の浅はかさを自分で責め始めてもいます。私はこれから先どう生きていけばいいのでしょうか。【23歳 OL】

■回答
宇多丸 これ、最初の質問で俺が答えたのまんまじゃん!
古川 外見を変えれば自分を好きになれるかっていったらそうでもない、むしろそこが落とし穴になりかねないと。日本は整形に対する抑圧が強いし、美醜に対する抑圧も強いし……結構がんじがらめなんですよね。
宇多丸 合理的な人だったらさ、整形してモテ始めたってことはプラスなんだからそこは良しって思えるんだけど、最初に職場で白眼視されたっていうのがトラウマになって……もうちょっとポジティヴなリアクションを期待していたのに、周りは自分のことを責める……だから自分の本質が明らかになったら私は拒絶されるのでは?っていう恐怖がつきまとうわけだよね。
古川 社会的な風潮でいえば、あと10年もすれば整形に対する偏見はだいぶ減ると思うんだけど。
宇多丸 でも美醜に対する抑圧や差別が解消されない限りはそう簡単にはいかないと思うよ。日本は属性信仰なんですよ、美しさは美しい精神に宿るものであるっていうさ。
古川 同じような水準の美があったら、それがより純潔であるほど尊いとされるってことか……そうなると根が深いですね。
宇多丸 整形なんか大したことないって価値観をこの人自身が信じ切るしかないね、まずは。で……この人こそ愚民作戦がアリなんじゃない? 整形なんか大したことないのに世の中には整形のことをとやかく言う下らない人が多い、そういう人たちの悪意に巻き込まれないためにもわざわざ言いふらす必要もない……って。
郷原 こういう人にはさ、芸能人であの人も整形だよって教えてあげればいいんだよ。「綺麗な人なんてほとんど整形だから」って思えれば少しは楽でしょ。
古川 ああ、あの手の話ってそういう機能があるのかなぁ……みんな好きだもんね。
宇多丸 あとさ、少なくとも子供の頃から顔に自信がなくてボーイフレンドもできなくてっていうのは一回解消されてるんだから、そこはもっと謳歌した方がいいよ。男性によく誘われるようになったって言ってるけど、整形したからって誰もがモテるようになるとは限らないし。
郷原 勝手だよね。だってただモテたかったわけでしょ? それで整形して男から誘われるようになったじゃん。この人は整形に対して差別意識のない男からモテたかったわけではないんだから。
古川 欲が深くなってるんだよね。
宇多丸 いや、違うでしょ。欲が深いというよりは、元の欲望そのものが終わりのない欲望なんだよ。愛してくれという欲望には終わりがないってことでしょ。
古川 ああ、そうか。ということはこの不安自体はずっと満たされないよね。
宇多丸 人間誰しもそんな欲が満たされてるわけもなく……そんなのは誰しもが抱えているわけで、ある意味人並みの不安に辿り着いたとも言える。
古川 じゃあやっぱり整形は成功ですよ。モテるようになってるわけだし、この先の不安は整形しようとしてまいとつきまとうものだって考えると、少なくとも整形をコンプレックスに思う必要はない……と思いますよ。じゃあ、寂聴アンサー。「生まれ変わればいいんです、今の自分で。あなたが整形したことを誰も知らない職場へ行ったんだから、それでいいと思う。男の人に誘われたら付き合ってみたらいいじゃないですか。もう済んだことをくよくよしても仕方がない……(中略)……そもそもこの人は自分で自分の顔を直そうとするぐらい生きるということに対して積極的なんですよ。(両親も)怒るより先にそれを評価してあげないと。だから、ご本人もその勇気を認めて、やったことを後悔することはないと思う」。
宇多丸 確かに最初の26歳ホステスと比べればねぇ、自分はどうすればいいかわかった上でのアレですからね……あの馬鹿はねぇ……アイツはどうにもなんねぇなぁ!
古川 しかしまた我々の回答も寂聴とほぼ同じ……どうでしょう、全体的にも我々、五分五分くらいはいけてると思うんですけど。
宇多丸 いや、最初の俺の回答があるから俺らの勝ちだよ! 寂聴超えですよ!!


PLAY BACK (SOLO):
寂聴さん、本当すいません。
この回(blast2004年8月号)は真っ昼間、渋谷センターGUYのカラオケボックスで収録したんだっけなぁ。近くのブックファーストでいろいろ人生相談関係の本を買い込んできて、一番やりやすかったのがこの本だったんだ(他に買ってきたのがあまりに特殊なタイプばっかりで絡みづらかったというのもある)。このとき初めて寂姉の著作を読んだのだけど、宗教に対して想像以上にクレバーなスタンスで、いい意味で期待を裏切られた記憶がある。
そして改めて読み直して、我々マジメだなぁ!と。
そうそう、単行本語り下ろし後半(P106)の「犬飼って寝ろ!」という主張は実はこの回の名残だったんですねぇ。

そんな感じ!

(古川)
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「武道館アーティスト」「ギャラクシー賞受賞ラジオパーソナリティ」「早大卒」

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「独禁法に引っかかるほどの売れっ子音楽ジャーナリスト」「セレブとの会見多数(フックアップの可能性大)」「高卒」

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「放送作家」「小説家」「音楽プロデューサー」

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「学習塾経営」「元ファッションブランド・ディレクター」「強豪草野球チームの首位打者」

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